為にどうしても表現しきれないソースがありました。そんな時に、h-hujiwara氏のホームページ を拝見させていただき、DAコンバータを製作する事を決意しました。 以前から、自分に合ったプリアンプを作ろうと構想をしていたのですが、どんな回路にしよう か悩んでいました。定数を一から計算してみる?でも、気に入った音にならなかったらどうしよ う?それとも全段差動プリ?面白そうではありますが。はたまたマランツ7などのレプリカ?義 父のお勧めは後者のレプリカなのですが(義父のプリもこの部類に属する)、一軒の家に同じ ものを二つ楽しくないですし。それに、自分の力が露見してしまいそうで怖くて手を出せません でした。 回路はともかくとして、入力ソースはどうする?レコードにはここ何年も針を落としたことがあ りません。とすると、ラインアンプでいいのかな?はたまた、多チャンネルの構成まで夢は広が ります。 そんな時に目にしたのが、h-hujiwara氏のホームページで紹介されているDAコンバータ製作 記事です。一つ、心の引っ掛かりが取れた思いでした。DAコンバータから作ってやろう。入力ソ ースの一つ目が固まりました。 ※製作期間が1年近くかかり、後にプリアンプとDACは別の筐体に分かれました。 しかしながら、アナログな回路ばかり見てきた私の目には、ICの足がにょきにょきと生えてい る回路図は迷路図以外の何物にも見えません。ここは一つ腰をすえて勉強をする事にしまし た。hujiwara様の配布基板を一枚分けていただき早速製作と実験の開始です。今回、『アナロ グな中にも最新のソースを』をスローガンに製作を決意しましたので、R2Rにする事に決めまし た。様々な製作記事等を拝見させていただくと、抵抗の精度の部分が一番重要である事が読 み取れます。早速、KOAの金属皮膜抵抗を500本購入してきて選定をする事にしました。
部品表作ってて気付きました。フィルムコン使用としているところをセラミックコンデンサを買 ってしまった。後で買いなおそう。早速選別作業の開始です。 抵抗値は、結構ころころ変わります。1割くらい計り終わって再度選定済みの物を測定してみ ます。安定するまで7〜8秒待って選別すれば大丈夫みたいです。温度変化によっても変わる のでそこまで厳密にやっても無意味でしょうか?だんだんコロコロと変わる抵抗値にイライラも してきます。熱源のPCのそばで作業をしたのは失敗でしょうか?さながら真空管の選別を思い 出すイメージです。今まで選別といえば、10数個がせいぜいでしたから、500本は気が遠くなる 思いです。1時間強経過して、100本を計り終えました。結果は、
思えば、200回強蓑虫クリップをつまんだんですね・・・ 先のことを考えると気が遠くなります。 今日はこれくらいにして寝よう。 2007年春 長い間中断していたDACの製作を再開する事にしました。当初の予定は、16BitR2RDAC+真 空管バッファの構成でしたが、8416DAI+R2RDAC(差動)の構成で行く事にしました。差動化す る事になり、10k抵抗が足りなくなりましたので、追加購入をしました。選別を開始して驚いたの ですが、以前の選別時と値が全く異なります。全てを一から選別することにしました。
当初使用予定だったTC9245DAIを使用したテスト環境を構築する事にしました。おそらく、今 後のDAC作りにおいてもテスト環境として活躍してくれるでしょう。使用する部品です。半年間で 人間は色々と気が変わるもので一部部品を追加購入してあります。
電源から製作開始です。今回は正電源のみで動作しますが、後々の流用を考えて正負共に 組みました。 セオリーどおり背の低い部品から取り付けをします。抵抗器は全て金属皮膜を使いました。 意味はありませんが、一度にまとまった本数を購入するので後々の事を考えてです。基板面に 密着しないよう厚紙でスペースを確保して実装します。どの程度実際に違いが出るかは計測し た事はありませんが、熱対策として有効な手とされています。 コンデンサー部品は逆に基板面に密着させて実装します。コンデンサーの足の根元が一番 リプル除去効果など理想の環境になります。 大物部品を実装して完成です。通電テストでも全く異常ありません。さすがに基板を使うと綺 麗に仕上がりますね。脱帽です。 DAI基板の製作です。9245DAIからNOS出力も可能ですが、今回はパイオニアのオーディオフ ィルター(PD00601)も入手していますのでフルスペックで組みました。ただし、データ出力がLR 独立になりますのでDAC側に細工が必要になりますが、検証用として構築しますので片チャン ネルのみ動作をすれば良しとします。 左 パイオニア製デジタルフィルターPD00601 右 東芝復調器 TC9245N 共に秋月で購入しました。 今回はチップコンデンサーの実装があります。お世辞にもあまり上手とはいえませんが・・・ デジタルフィルターとロジックICも表面実装タイプになりますので先に実装します。SOPタイプ のICのハンダ付けはフラックスとルーペが必須です。SOPパッケージのICの各足のピッチは1. 27mmです。手先が器用でよかったと今更ながら思います。ハンダ面に適量フラックスを塗布 し、テープで固定しながら部品の位置決めを慎重におこないます。初めに1ピンと最終ピンを半 田で仮固定した後、私の場合は1ピン毎に慎重にハンダづけします。人によっては、半田ごて を横にスライドさせながら、全てのピンをいっぺんにハンダづけする方もいるようです。フラック スの表面張力で綺麗に足間が分離するようです。 その他の部品も実装して完成です。 最後に、本丸のR2RDACの製作です。今回は後々8416DAIに接続して差動構成にする予定 なので24bit化します。電源はDAI基板からの給電とします。基板上のジャンパーピンの切替で 動作を各種変更できるので差動化の際にハンダづけ等が必要なく非常に便利です。私もいつ か基板が起こせるようになりたいものです。 アナログ部の部品は少々奮発しました。抵抗はDEALの金属皮膜抵抗にしました。電源のデ カップリングコンデンサーはnichiconのFineGold、フィルムコンデンサーはニッセイのASPを使 用しました。シングルオペアンプはOPA134Aを使用しました。 今回の検証段階では、カップリングコンデンサーを入れて直接出力を取り出す予定なので、 アナログ回路は使用しませんが後の為に実装をしておきます。アナログ回路は少しは理解が できるので回路図の解釈を試みてみました。DAC出力をオペアンプのボルテージフォロア回路 で受けます。 非反転増幅回路の抵抗が無い回路です。全帰還をしているので1倍の増幅率になります。オ ペアンプの種類によってはこの様な動作に適さないものもあるので注意が必要です。前後の 回路の分離とインピーダンス変換をおこないます。出力インピーダンスはオペアンプの出力インピーダンス になるので、数百Ω程度に下がります。真空管で回路を組む時は、出力インピーダンスを下げる のに四苦八苦しますが、オペアンプを使えばこんなに簡単に組めるんですね。カソードフォロア ーと同じような使い方ができると言ったところでしょうか。ボルデージフォロアーの出力を、差動 増幅回路で受けて差動合成します。差動合成というとトランスにPP合成よるものばかり思い浮 かびますが、これもまた脱帽です。 先程と同様の容量で表面実装部品の取り付けをおこないます。今度は数が多いので大変で す。 いよいよR2Rラダー部に取り掛かります。140本の選別した抵抗を実装していきます。この数 もSOPパッケージのICを取り付けた後では、たいしたこと無いように感じられます。 1Rの実装をしていて問題が。10kの抵抗を並列に配置して5kを作ろうと思っていたですが、1/ 4Wの抵抗ではどうしても足が2本通りません。苦肉の策で背面に実装する事になってしまいま した。後から、h-hujiwara氏のホームページを見たところ、1/6Wの抵抗を使ってるみたいです ね。もう一度、抵抗を買いなおして選別をする気力はちょっとありません。 大物の部品とピンを立てて完成です。実際に動作をさせてから思ったのですが、オシロスコ ープによる調整が必須なので、プローブ用の端子を立てれば良かったと後悔しました。 動作させてみましょう。ワニ口クリップで仮組みをして、先ず電源部から火を入れます。後か ら分かったのですが、この時ACの接続する端子を間違っていました。どうりでトランスが異様 に発熱したわけです。正常に電圧は出力されていましたが(笑)恐ろしい・・・ 半固定抵抗をまわして目的の電圧(9V)を取り出します。DAI基板に7805レギュレータが実装 されており降圧してますので、こんなもんでいいでしょう。 DAIとDACを組みます。恐る恐る火を入れます。一発音だし成功でした。ただ、出力信号が数 十mVしかありませんでした。おそらく、電源基板のACの接続を間違えた為、十分な電流が取 り出せなかったためと思われます。本当に恐ろしい・・・ 早速正弦波を入力してオシロスコープで観測する事にしました。そうです!とうとう買っちゃっ たんです。安物ですが、現在では我が家のメイン機材として大活躍しています。入力と出力波 形を並べたりデジタル信号をClock信号と並べたりしたいので、2ch使えるもので数万程度の機 種を選びました。PicoScope2202です。秋月で39,800円で購入しました。 カップリングコンデンサーの足元にプローブを接続して早速波形をPC画面に表示しました。 やはり、無調整ではゼロクロス歪みが出ています。 ch1 -20db ch2 -20db 慎重にボリュームを回して調整します。こんなところでしょうか。 ch1 -20db ch2 -20db 動作の確認がとれました。 本組みに入ります。随分と長く書いてきたので後編は別ページに分けさせていただきます。 R-2R LADDER DAコンバータの製作【後編】
(つづく・・・)
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