日本ビクターR601C5球スーパーのレストア
1954?製造の日本ビクターR601Cのレストア作業を行いました。
残念ながら、配線図は腐食により剥がれてしまったようで、先ずは回路図の作成からはじめる
事にしました。
目で見て分かる範囲で、電源ケーブルの被服が剥がれてしまっているのと、輸送時にシールド
が当たったのか、6D6のトップグリッドが取れてしまっています。
出力トランスの1次側の配線が、根元からなくなっています。
使用されている真空管です。
何故か6W-C5のみホコリがかぶっていません。
NECの球が入ってます。
事故の痕跡はほぼ無いので最近抜かれたのでしょうか?
他の真空管は松下OEMのVictorロゴが入っています。
なんかかっこいいですね。
KX-80BK |
片波整流・日本独自規格の整流管 |
UZ-42 |
高級ラジオに使用された傍熱型出力管 |
6Z-DH3A |
日本独自規格の検波&低周波増幅管 |
UZ-6D6 |
高周波&中間周波増幅管・トップグリッドのリード線に特徴 |
6W-C5 |
スーパー用の周波数変換管・日本独自規格 |
6E5 |
マジックアイ(同調指示器) |
外れてしまった6D6のトップグリッドの修復を行いました。
リードを通してハンダ付けをした後、瞬間接着剤で固定しました。
管の中のリード線の様子がよく分かります。
6D6は表示が消えてしまってもこのクルリとひねられたリードを見ると判別がつくそうです。
キャビネットの塗装はほとんど剥がれてしまっています。
いったいこのラジオにはどんな辛い過去があったのでしょうか?
しかし、大事に使われていたのかツマミや細かい飾品は全てそろっています。
回路図が無いので、実機の配線から回路図を作成していきました。
B+電源の降圧抵抗と周りの部品が焼けて表示が読めません。
ペーパーコンデンサーもすっかりロウが落ちて黒く変色して判別できません。
表示が判別できない部品は参考までに実測値を測定しました。
さすがに、まだリードを外す勇気はありません・・・
回路図が完成しました。
配線図も作ったほうがいいかな?
R601C.pdf クリックするとダウンロードできます。
先日完成したケミコンテスターを使って、ケミコンのテストを行いました。
いつもの事ながら、古いブロック電解コンデンサーに通電するのには勇気と度胸が必要です。
通電中は心拍数が上がりっぱなしでした。
漏れ電流が3mA程度あります。
パスコンなどにペーパーコンデンサーが使われているのでその影響でしょうか?
試しに、出力管のグリッドの電圧を測定すると1.5V程度の電圧が生じています。
パスコンは無条件に交換したほうがよさそうです。(表示が読めないのですが・・・)
うっかり筐体に触ってしまい、ピリッときました。
トランスレス機やテレビの調整中じゃなくて良かったです。
コイル・トランスの導通を確認しました。
全て断線や短絡は無いようです。
リード線が腐食して無くなってしまったアウトプットトランスの1次側もわずかに残った配線の根
元にテスターをあてたところ断線は無いようです。
とりあえず胸をなでおろしました。
電源1次側100V-0V間 |
直流抵抗12.7Ω |
電源1次側85V-0V間 |
直流抵抗14.7Ω |
電源B+ |
直流抵抗138Ω |
電源C1+ |
直流抵抗0.8Ω |
電源C2+ |
直流抵抗0.8Ω |
IFTA1次側 |
直流抵抗12.3Ω |
IFTA2次側 |
直流抵抗12.3Ω |
IFTB1次側 |
直流抵抗15.3Ω |
IFTB2次側 |
直流抵抗15.3Ω |
発振コイルG-K間 |
直流抵抗6.6Ω |
発振コイルK-E間 |
直流抵抗1Ω |
発振コイルG-E間 |
直流抵抗7.4Ω |
周波数変成コイルG-E間 |
直流抵抗8.5Ω |
周波数変成コイルAS-E間 |
直流抵抗6.7Ω |
配線の劣化とペーパーコンデンサーの劣化を除いて実用範囲にあると判断してよいという事で
しょうか?
とりあえず補修の計画を練ることにしました。
2006年11月17日
同じ機種を所有されている、サイト『Antique Japanese Radios/日本の古いラジオの歴史館』の
林様より情報をいただきまして、表示を読めなかったコンデンサー類の容量などを回路図に追
記しました。
また、間違えのご指摘も頂戴しましたので、併せて訂正しておきました。
R601C_2.pdf クリックするとダウンロードできます。
(つづく・・・)
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